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ヴィジョンを視るノストラダムスの方法

予言集第一巻の冒頭のⅠとⅡの詩は、ノストラダムスが実際に行っていたヴィジョンを視る方法を説明しているようです。


(オリジナル訳)

夜、秘密の書斎に座り、

青銅の三脚に(水を張ったボウルが)置かれる。

孤独から燃え上がる細い炎は、

信じがたいものを繁栄させる。


手に持った杖を枝の間に置き、

衣服の手足に水を振りかける。

袖を通して恐怖と声が震える。

神の輝き。神聖なる者が近くに座す。


(説明)

Ⅰの内容からは、ノストラダムスが予言のための幻視を行った時間は夜で、場所は書斎だということが分かります。

青銅の三脚に、おそらくは水を張ったボウルを置いたと思われます。

小さい炎をボウルから離れた場所に置いているようです。

幻視ではボウルの水面を覗き込んでいますが、そこで見ているものは水面に映る炎の光だと思われます。

水面に映る炎の揺らめきを覗き込んでいると、そこに信じられないほどのヴィジョンが浮かび上がってきたと推測されます。


Ⅱの内容からは、ノストラダムスが幻視を行う際のルーチンがうかがい知れます。

まず、杖を傍らの枝の間に置きます。

それから衣服の手足に水を振りかけますが、これは清めの儀式だと思われます。

その次の「袖を通して恐怖と声が震える」というのが、幻視でみた映像の恐怖なのか、あるいはノストラダムス自身の意識変容によるものなのか、よく分かりません。

ただ、その後に神の栄光を感じ、すぐ近くにその存在を感じていることから、どちらかというとヴィジョンを視るための意識変容の過程での恐怖と声なのかなと思います。

何らかの呪文を唱えていて、その声が震えるのかもしれません。


( l’édition originelle de 1557 )

Étant assis de nuit secret étude,

Seul reposé sur la selle d'airain :

Flambe exiguë sortant de solitude,

Fait prospérer qui n'est à croire vain.


La verge en mains mise au milieu de BRANCHES,

De l'onde il moule et le limbe et le pied :

Une peur et voix frémissent par les manches,

Splendeur divine. Le divin près s'assied.




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