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詩『永遠という名の鎖/A Chain Called Eternity』(龍 博詞/Hiroshi Ryū)
縛られない自由な心は揺れ動き
揺れるからこそ生き続ける
―生きる心は自由を恐れないから
1月31日読了時間: 2分


物語詩『水の環を奪いし者の物語』(龍 博詞/Hiroshi Ryū)
第一章 尽きぬ湖と与えられた環 森の奥に澄んだ水をたたえる湖 その湖は枯れることがなかった。 湖に棲む清らかな妖精リュミアは 疑うことを知らぬ存在であった。 天上のアルケオンは世界の理を司りながら 地上の個々の行く末には関心を払わぬ主神。 祈りは風のように彼をすり抜けていった。 あるときは気まぐれに ひとつの指輪をリュミアに与えた。 水の流れを命じ、世界への巡りを束ねる アクアマリンの環を。 リュミアはその青い指輪の霊力により 目まぐるしく変転する気候に抗して 湖を満たし、森を潤し、命を守り続けた。 その永遠にも近い水の充足は 「失われるかもしれない」という想像を 彼女の内から奪っていった。 第二章 正義をまとう欲望 そのころ、人の領域との境界あたりに ディプセウスという魔法使いがいた。 彼は言葉を操り、姿を変える術に長けていた。 海の向こうの砂漠にある王国の噂―― 雨なき空、細る泉、枯れゆく命の噂を聞き 「水に欠乏する地があるのなら、 満ちあふれる地より移せばよい」と考え その理屈は彼の中で正義の衣をまとった。 「話に聞くあのリュミアの指輪さえ
1月8日読了時間: 4分


物語詩『透ける皿と満ちる倉/The Transparent Plate and the Overflowing Granary』(龍 博詞/Hiroshi Ryū)
『透ける皿と満ちる倉』 ある山あいの国に昼も夜も手を止めぬ人々がいた。 岩を砕き鉱石を掘り、闇の奥からかすかな光を掬い上げ、 それを宝石として磨きあげて、惜しみなく王に献じた。 王はそれらを交易に回し、 宝石は穀物となり布となり、黄金に姿を変えていった。 年ごとに国の倉は高く、高く積み上がり、 やがて雲の影をその肩に抱くほどになった。 人民思いを装う王は人々に言った。 「倉が満ちれば、いずれお前たちの皿も満たされる」 その声は穏やかで、言葉に疑いの影はなかった。 だから人々は働いた。 身体が悲鳴をあげても、手のひらが裂け血が滲んでも、 王が定めた月の満ちる日には、 息を詰めるように磨き上げた宝石を捧げ続けた。 倉はさらに高く、さらに重くなり、 王は誇らしげに告げた。 「国はかつてなく豊かである。 余剰は積み上がり、この国の未来に不安はない」 だが不思議なことに、 人々の皿はいつまでも浅いままだった。 子もまた親の背を追って働いたが、 皿の底は透け、満ちることはなかった。 ある日、臣下を連れ交易へ向かう王の前に、 ひとりの若者が進み出た。 声は震
2025年12月13日読了時間: 4分


寓話詩『晩秋のある日の森で/On an Autumn-Evening in the Forest』(龍 博詞/Hiroshi Ryū)
『晩秋のある日の森で』 秋も深まり、冬の足音が土の底からかすかに忍び寄るころ。 夕暮れの野原では、名残の花がそよぎ、 渡り鳥たちは冷たい風に抗うように、細い声で風に応えるように鳴きかわしていた。 その静寂のひと隅で、兄弟はばったりと出会った。 「これは兄さん。どちらかへの遠征の帰りですか?」 「よう、弟よ。今日はマンヒューの領分に、少しばかり稼ぎに行ってきた」 「あそこは危ないですよ。ご先祖様の教え、忘れないでください」 兄はふっと鼻を鳴らした。 「俺はあんな奴ら、少しも恐れちゃいない。 昔はマンヒューも森との境をわきまえていたらしいが… 長い間に前とはすっかり変わっちまった。 年ごとに欲深くなり、森に爪ばかりを立てやがる」 生まれつき血の気の多い兄は、積もった落葉を蹴り上げた。 葉は夕陽を受けて火の粉のように舞い、その中で兄は吠えた。 「この大地は誰かの私物じゃない。 生きとし生けるものは皆、神から借りた時間を、 ほんの束の間だけ生きているに過ぎん。 それを忘れ、森を荒らし、 我らの種族を追いやろうとする奴らを決して許しはせん。.
2025年12月5日読了時間: 3分


物語詩『闇の窓/The Window of Dark』(龍 博詞/Hiroshi Ryū)
『闇の窓』 賢きアシャル王は、地下に設えた秘密の部屋で 黒鏡の前に座し、揺らぐ蠟燭の影を背負いながら ひとり呟く。 「いったい何というものだ。 この魔法の黒鏡―― 鏡板を抱く縁取りの銀細工は星辰の意匠、 きっと名のある職人の手によるものに違いない」 だが真に畏るべきは、鏡板そのものに宿る霊威。 この世界の森羅万象は、その闇の底へ吸い込まれ、 見えざる網の振動を伝って叡智界へと届く。 そして彼方の神聖なる叡智界より編み戻される糸は、 瞬きよりも早く預言を結び、鏡面に兆しを刻む。 まさに、叡智の風が流れ込む闇の窓であった。 かつての王は、己が胸奥に燃ゆる思索の焔を頼みとしていた。 臣下や民の声に耳を澄まし、 いざ決断の折には雷鳴のごとき言葉で国を導いた。 ――紫の巨大な翼が城を覆った、あの陰鬱の夜までは。 愛しきクラリス姫の身体は、熔けた岩のように灼熱し、 肌には赤黒の斑が噴き出ては沈んだ。 純白のドレスを春の花のように纏っていた姫は、 小鳥のさえずりに似た愛らしい声を失い、 砂嵐を胸に呑み込んだかのような苦悶と、 紫の靄が満ちる朦朧の中で喘いでいた
2025年12月1日読了時間: 5分


天国と地獄の結婚(PLATE 17-22)THE MARRIAGE of HEAVEN and HELL
思い出に残る空想 天使が私のところに現れて言った。「ああ、哀れで愚かな若者よ! ああ、恐ろしい! ああ、恐ろしい境遇だ! お前が永遠に自らのために準備している灼熱の牢獄を考えてみろ。お前はこんな苦労をして、そこへ向かおうとしているのだ。」 私は言った。「もしかしたら、私の永遠の運命を見せていただけるかもしれません。一緒にじっくり考えて、貴方と私のどちらが望ましい運命かを見極めましょう。」 そこで彼は、私を連れて馬小屋と教会を通り抜け、奥に製粉所がある教会の地下室へと降りた。製粉所を通り抜けると洞窟に着いた。曲がりくねった洞窟を手探りで下りていくと、やがて冥府のように果てしない虚空が眼下に現れ、私たちは木の根を掴んでこの広大な空間にぶら下がった。私は言った。「もしよろしければ、この虚空に身を委ね、ここにも神の摂理があるかどうか確かめてみませんか。もしあなたが望まないなら、私はそうします。」しかし、彼は答えた。「若者よ、思い上がるな。だが、我々がここに留まっている間、闇が去った時にすぐに明らかになる運命を見届けよ。」 こうして私は彼と共に、樫
2025年10月9日読了時間: 10分


天国と地獄の結婚(PLATE 15-17)THE MARRIAGE of HEAVEN and HELL
思い出に残る空想 私は地獄の印刷所にいて、知識が世代から世代へと伝承される方式を目にした。 第一の部屋には竜人がいて、洞窟の入り口からごみを片付けていた。内部では、数頭の竜が洞窟をくり抜いていた。 第二の部屋には毒蛇が岩と洞窟の周りを覆い、他の竜たちは金銀と宝石で洞窟を飾っていた。 第三の部屋には翼と空気の羽根をもつ鷲がいて、洞窟の中を無限にしていた。周囲には鷲のような男たちが大勢いて、巨大な崖に宮殿を建てていた。 第四の部屋には燃え盛る炎の獅子たちが辺りを駆け回り、金属を溶かして生きた液体に変えていた。 第五の部屋には名もなき者たちがいて、金属を空間に投げ出していた。 そこでそれらは、第六の部屋に住む人間たちに受け取られ、書物の形をとって図書館に並べられた。 この世界を官能的な存在に形作り、今では鎖に繋がれて生きるように見える巨人たち。実のところ、彼らはこの世界の生命の起因であり、あらゆる活動の源泉である。しかし、鎖とは、弱く従順な精神の狡猾さである。それは欲に反抗する力を持つ。格言にあるように、勇気の弱い者は狡猾さに強い。..
2025年9月29日読了時間: 4分


天国と地獄の結婚(PLATE 12-14)THE MARRIAGE of HEAVEN and HELL
思い出に残る空想 預言者イザヤとエゼキエルが私と食事を共にした時、私は彼らに尋ねた。「神が自分たちに語りかけたと、どうしてそこまで断言できるのか。そして当時は、誤解され、欺瞞の種になるとは考えなかったのか。」 イザヤは答えた。「私は有限な肉体的知覚では神を見ず、神の声も聞かなかった。しかし、私の感覚はあらゆるものの中に無限の存在を見出した。そして、正直な憤りの声こそが神の声であると確信し、今も確信し続けている。だから、私は結果を気にせず、書き記したのだ。」 そこで私は尋ねた。「ある事がそうであると確信すれば、それが真実になるのか?」 彼は答えた。「すべての詩人はそうであると信じている。そして、想像力の時代において、この確信は山をも動かした。しかし、多くの人は、何事についても確信することができない。」 するとエゼキエルは言った。「東方の哲学は、人間の認識の第一原理を教えた。ある民族は起源について一つの原理を持ち、別の民族は別の原理を持っていた。我々イスラエルは、詩的才能(今あなた方がそう呼んでいる)が第一原理であり、その他は単に派生したも
2025年9月26日読了時間: 5分


天国と地獄の結婚(PLATE 7-11)THE MARRIAGE of HEAVEN and HELL
地獄の格言 種まきの時期に学び、収穫期に教え、冬に楽しめ。 死者の骨の上に荷車と鋤を走らせよ。 過剰の道は知恵の宮殿に通じる。 思慮分別とは、無能に求愛された金持ちの醜い老婆である。 欲しがっても行動しない者は、疫病を生む。 切られた虫は鋤を許す。 水を愛する者は川に浸せ。 愚者は賢者が見るのと同じ木を見ない。 顔から光を放たない者は、決して星にはなれない。 永遠は時の産物を愛する。 忙しい蜜蜂には悲しんでいる暇はない。 愚行の時間は時計で計れるが、知恵の時間は時計では計れない。 健康的な食べ物はすべて網や罠を使わずに捕獲される。 飢饉の年には、数、重さ、大きさのあるものを作れ。 自分の翼で舞い上がる鳥は、高く舞い上がりすぎることはない。 死体は損傷の復讐をしない。 最も崇高な行為は、他人を自分の前に出すことだ。 愚か者が愚かさを貫けば賢くなるだろう。 愚かさは不正を隠す仮面である。 羞恥心は自惚れを隠す仮面である。 牢獄は法の石で造られ、娼館は宗教の煉瓦で造られる。 孔雀の誇りは神の栄光である。 山
2025年9月23日読了時間: 7分


天国と地獄の結婚(PLATE 6,7)THE MARRIAGE of HEAVEN and HELL
思い出に残る空想 地獄の火の中を歩きながら、天才の喜びに浸っていた私は、天使たちにとっては苦痛と狂気に見えるかもしれない。そこで私は、彼らの格言をいくつか集めた。国で使われる言葉がその国の性格を象徴するように、地獄の格言は、建物や衣服の描写よりも地獄の知恵の本質をよく表していると思ったのだ。 故郷に帰った時、平らな断崖が現世を見下ろす五感の深淵で、私は黒い雲に包まれた強大な悪魔が岩の斜面に漂うのを見た。彼は腐食する炎とともに、今や人々の心に認識され、地上で読まれている次の一文を記した。 空の道を切り裂くすべての鳥が、汝の五感に閉ざされた広大な喜びの世界にあることを、汝はいかにして知るのか? A Memorable Fancy As I was walking among the fires of hell, delighted with the enjoyments of Genius; which to Angels look like torment and insanity. I collected some of their P
2025年9月22日読了時間: 2分


天国と地獄の結婚(PLATE 1-3)THE MARRIAGE of HEAVEN and HELL
議論 リントラが吠え、重苦しい空気に炎を揺らす。 飢えた雲が深淵を揺らめく。 かつては従順に 危険な道を死の谷間に沿って 正義の男は進み続けた。 バラは棘の生えるところに植えられる。 そして不毛の荒野には 蜜蜂が歌う。 それから危険な道に草木が植えられた。 そしてどの崖にも墓の上にも 川が流れ、泉が湧いた。 そして晒された骨の上には 赤い土が生じた。 危険な道を歩み 正義の人を不毛の地に追いやるため 悪人は安楽な道を離れた。 今や穏やかな謙虚さで 卑劣な蛇は歩きまわる。 そして獅子が闊歩する荒野で 正義の人は激怒する。 リントラが吠え、重苦しい空気に炎を揺らす。 飢えた雲が深淵を揺らめく。 新しい天国が始まり、その到来から33年が経った今、永遠の地獄が蘇る。そして見よ!スウェーデンボルグは墓に座る天使であり、彼の著作は畳まれた亜麻布である。今はエドムに支配され、楽園にアダムが帰還する時である。イザヤ書第34章と第35章を参照。 対立なくして進歩はない。引力と反発、理性と欲、愛と憎しみは、人間の存在に不可欠である。 これらの対立から、宗教的に
2025年9月17日読了時間: 2分


ブレイク「黒人の少年/The Little Black Boy」(無垢と経験の歌)
黒人の少年 お母さんは南の荒野で僕を産んだ。 だから僕は黒いけど、ああ!僕の魂は白い。 イギリスの子どもは天使のように白い。 だけど僕は真っ黒、まるで光を奪われたみたいに。 お母さんは木の下で僕に教えてくれた。 日中の暑さが盛りになる前にそこに座り、 お母さんは僕を膝に抱いて、キスをした。 そして東を指さして、こう言った。 昇る太陽をごらん。そこには神さまがいらして、 光を与えてくださり、熱を送ってくださる。 そのおかげで花も木も動物も人間も、 朝には慰めを、昼には喜びをいただけるのよ。 私たちは少しの間、この地上に置かれます。 それは愛の光線に耐えることを学ぶためです。 そしてこんな黒い体や、日に焼けた顔は ただの雲、陰の濃い森のようなものなのよ。 私たちの魂が熱に耐えることを学んだとき、 雲は消え去り、私たちは神さまの声を聞くでしょう。 「私の愛と心遣いである森から出てきなさい。 そして黄金の幕屋のまわりで子羊のように喜びなさい」 お母さんはそう言って、僕にキスをした。 だから僕はイギリスの子どもには、こう言おう。 僕が黒い雲から、きみが白い
2025年9月13日読了時間: 3分


フロスト「選ばなかった道/The Road Not Taken」
選ばなかった道 黄色い森の中で道は二本に分かれていて、 両方の道に進むわけにはいかないので、 ひとり身の旅人である私は長く立ち止まり、 片方の道を目の届くかぎり見つめた。 その道が折れ曲がり、下草の中に消えるまで。 それから、同じくらい良さそうで、...
2025年9月9日読了時間: 2分


ブレイク「神の似姿/The Divine Image」(無垢と経験の歌)
神の似姿 慈悲、憐れみ、平和、そして愛に 困窮する時、誰もが祈りを捧げます。 そして、これらの喜ばしい効き目には 感謝の心を返します。 慈悲、憐れみ、平和、そして愛にとって、 神は私たちの愛しい父であり、 そして、慈悲、憐れみ、平和、愛は、 彼の子であり保護される人間なのです。 なぜなら慈悲は、人間の心臓に表れ、 憐みは、人間の顔に表れ、 愛は、人間の神聖な姿に表れ、 平和は、人間の衣装に表れるからです。 だから、あらゆる国のあらゆる人、 困窮の中にあって祈る人は、 神聖なる人間の姿に、 愛、慈悲、憐れみ、平和を祈るのです。 すべてのものは人間の姿を愛さなければなりません。 異教徒、トルコ人、ユダヤ人であろうとも。 慈悲、愛、憐れみが住まわれているところ、 そこには神もまた住まわれているのだから。 (解説) 『無垢と経験の歌』の『無垢の歌』の中にあるこの詩には、スウェーデンボルグの影響がみられます。スウェーデンボルグは「人間」について、「魂は人間の形(forma humana)であり、‥‥人間そのものである。それはいのちではないが、神からのいのち
2025年8月31日読了時間: 2分


ブレイク「煙突掃除の少年/The Chimney Sweeper」(無垢と経験の歌)
煙突掃除の少年 母さんが死んだとき、僕は幼かったけれど、 父さんは僕を売ったんだ。まだ僕の舌は、 「煤はらい、煤はらい」と、なかなか言えなかったのに。 それで僕は煙突を掃除して、煤にまみれて寝るんだ。 小さいトム・デイカーが、羊の背中のような巻毛の 頭を刈られて泣いていたので、僕は言ってあげたんだ。 泣くなよ、トム、気にするな、坊主頭になったなら、 君の白い毛髪が、煤で汚れることはないんだよ。 トムは泣きやんだけれど、ちょうどその晩、 眠っているときに、こんな光景を夢に見た。 幾千人の煙突掃除人、ディック、ジョー、ネッド、ジャック、 皆一人残らず、黒いお棺に閉じ込められていた。 すると輝く鍵を持った天使がやってきて、 お棺を開けて、彼ら全員を解放してくれたんだ。 それで彼らはとび跳ね、笑い、緑の野原を駆けまわり、 川で洗い清めると、日光を浴びて輝く。 それから白い裸で、袋は全部置き去りにして、 彼らは雲の上に乗り、風の中で遊ぶ。 その天使はトムに言った。もし良い子にしていれば、 神さまがお父さんになってくれて、喜びは尽きない、と。 ここでトムは目
2025年8月25日読了時間: 3分
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